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#01ヒグチユウコ×中村佑介

作品とお金の話

中村画家として個展で作品を売る、イラストレーターとして仕事をする。それで生活していく以上、絵を“お金”になるまでに高めなくてはいけません。それは、人それぞれにやり方があると思うんです。こういうポイントをおさえないと、お金は出してもらえないな、とか。コツって言ってもいいかもしれない。で、ヒグチさんのそのやり方も是非お聞きしたいなと。まず、作品として描いた絵と、商品に使われる絵って、自分の中で意識を分けていますか?

ヒグチ分けているというより、商品の場合はクライアントからのNGや、リクエストがありますからね。その部分で、違って見えたりはするかも。やっぱり気持ち悪めのモチーフは嫌がられますし、「可愛くお願いします!」って言われる事が多いですから。個展用に描く絵は、結構その時の気分で描いていますね。ただその作品もギャラリーで展示させて頂いている以上、利益を出さなくてはいけないので、ある程度「売る」という事は意識します。バランスを取りつつ。好きに描いて、すっごく自分的には気に入ってる絵ほど売れなかったりしますけどね(笑)。あ、でも逆に商品の方で、自分の好きなように描いちゃって「大丈夫かな…?」と心配してたものが、すごく売れたりというのもありました。そういう事もあって、「変に媚びる必要はないんだ」と気づいたんですよね。むしろ、媚びれば媚びるほど、良くない方向に行く。そういう事をすると、自分で自分の絵にイラッとしますし(笑)。

中村わかります。でもほんと、バランスですよねぇ…。画集を見ていても思います。ちょっとダークなムードのものではなくて、パッと見て「可愛い!」と感じる絵。そういうものほど、よく見るとシュールだったり奇妙なものが描いてあったりする。入れ込み方が絶妙なんですよ。バックの色も、可愛いモチーフの時は渋めにしていたり。画面全部でちゃんと“100”になるように、計算されているんだよなぁ。ご自身としては、感覚的にやられているんだとは思うんですけど。

ヒグチ生き物を描く上で、私自身は「気持ち悪い」と思うものはほとんどないし、本当なら何でも描きたい。でも、一般的にはどうなのかな、というのはやっぱり考えますよね。皆が皆、昆虫やカエルを「可愛い!」と思ってるわけじゃないよなって。

中村そこを、ちゃんと分かっているかどうかってとても大切だと思います。だからこそ、絶妙なラインを保てるんだと思いますし。

ヒグチ無難な事ばかりやっていても飽きちゃうので、たまにちょっと冒険はしますけどね。

中村先ほど、自分が気に入っている絵ほどウケなかったりすると仰ってましたけど、ヒグチさん的には気に入っている絵がウケるのと、意外なものがウケるの、どっちが嬉しいですか?

ヒグチ難しいな~。でも両方嬉しいですよ。どっちがって事はないかな。意外なものと言っても、嫌いなものをイヤイヤ描いているわけではないですしね。よく考えてみると、私はわりと、どの仕事でも自由にやらせてもらっているんです。結構好きにやってるから…。

中村うんうん。意外と、イラストのお仕事ってイメージしていたより自由ですよね。お仕事を振って下さる側って、イラストの専門家ではなくて、むしろイラストに詳しくない人たちなわけだから…言い方は悪いけどある程度だませる(笑)。

ヒグチたしかに、それはそうかもしれないですね。あと私に頼んでいる時点で、どういうものになるかは多少なりとも想定しているでしょうし。いきなり風景画を頼まれたりとか、ないじゃないですか(笑)。お仕事をする前は、イラストレーターって、もっと何でも描けなくてはいけないんだと思ってたけど…。私は、好きなものを描いてそれがお仕事になっているので、意外とそんなものなんだな、って。

ヒグチさんの息子さんの作品。将来は漫画家を目指しているという。この絵は”ぼすどくてらす”というオリジナルキャラクター。キャラクターだけでなく、きちんとゲーム画面になっているところにクリエイターの芽を発見。それにしてもレベル255で超強いはずの”どくてらす”が何故こんなボロボロに…一体誰が!?

「ぼすどくてらす」をボロボロにした犯人は、何とヒグチさんのブログやTwitterにも度々登場する愛猫のボリスちゃんでした。あんなに可愛いのにレベル255以上とは、この貫禄も頷ける気がしてきました。

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